tre(トレ)のcrunch channel (旧:アコースティックな日々)

福岡県在住のシンガーソングライターtre(トレ)。弾き語りを中心とした様々な活動を行う。アコギのプレイ技術、弾き語りのシーン、宅録についてなどの記事を中心としてお送りしております。

【レビュー】ポピュラー音楽の世紀/中村とうよう【新書】

 

 


運が良いのか悪いのか、インフル・パンデミックの波を無事に駆け抜ける事が出来そうです。

 


どうもtreです。

 


さて、ツイッターでもチラッと言ってましたが、久しぶりに本のレビューです。

 


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とりあえず写真を載せないと味気ないのでタイトルドン↓

 


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本文より

空前のできごとが相次いだ二十世紀の百年を、いろんな方が分析し、さまざまに総括しておられる。ぼくはこの世紀を“ポピュラー音楽の時代”としてとらえてみた。ポピュラー音楽こそ時代に生きてきた大衆の心を映す鏡だったのであり、これを見つめることで歴史の基底が明らかになると思うからだ。

 

という文面から始まります。この本が出版されたのが1999年ですので、大体20年ほど前に書かれたものです。

 


つまり二十世紀はクラシックのような芸術音楽と民謡のような民俗音楽との両方の要素を持った「ポピュラー音楽」が大衆の代弁として商品市場に出されて行った時代であるということです。

 


「ポピュラー音楽」も今日賑わっているような「ポップス」という意味よりも、ジャズ、ボサノバ、タンゴ、ブルース、ロック…というような多くのジャンルの総称として使われています。

 


「ニッポンの音楽/佐々木 敦(講談社現代新書)」や「j-popは死んだ/烏賀陽 弘道(扶桑社新書)」のような感覚でこの本を取ると少し違和感を感じるかもしれませんが、読みやすい文章とわかりやすい表現なので、音楽が趣味の方はすんなりと読めるかもしれません。

 

 

続いて、本書の中心的な部分を主観ですが、3つにまとめてみたいと思います。

 


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○「ポピュラー音楽」たる理由

本文より

商品として売るために作られた歌がポピュラーソングだ、と言っていいだろう。歌以外の楽器演奏の曲なども含まれるなら、商品として売るために作られた音楽がポピュラー音楽、ということになる。


ポピュラー音楽とは、商品として売られなければポピュラー音楽としては成り立ちません。楽譜販売にしろ、レコードにしろ、作曲家、作詞家と大衆とを結びつけてそこに金銭的なやり取りが発生する環境がなければ、ポピュラー音楽というものは存在しないのです。故にレコードやCDや楽譜印刷が出来なかった時代では、商業的な音楽という概念自体がなかったのでしょう。

 

○エンターテイメントの中の音楽

本文より

歌と芝居はどう繋がっていたか、などという設問は無意味である。どこの地域でももともとは、歌や芝居や、さらに踊りや、さらに踊りやお笑いや手品やアクロバットや、すべてがいっしょくたで芸能という不定形なものを成していた。

本文より

ただし音楽を商品化する資本主義の時代になって、芝居の要素とは切り離したポピュラー音楽という形が一応は成立する。

本文より

芸能の根っこを完全に断ち切ってしまった純粋な“音楽”などというものは、大衆の心には届かないのではないだろうか。

 


本書の中盤の内容です。各ジャンルのポピュラー音楽の生成の要素として、ショウと呼ばれるものがあった事から、音楽はエンターテイメントを構成する要素の一つであった事が挙げられています。また、商品として成り立つようになった音楽も、その中にエンターテイメント性を内包されていなければ大衆には届き辛いのではないかと提起されています。

 

 

○今後の見通し(20年前)

 

本文より

この本は、ポピュラー音楽とは商品として売るために作られた音楽だ、という定義からスタートした。だが、音楽を売るための代表的な商品形態だったレコードとかCDというものが、やがて消えようとしている。

 

本文より

本質は同じであっても、そこまでメディアの形も売り方も変われば、音楽産業の大変革を招くだろうことは疑いない。


本書の最後の章で語られています。業界の間で、配信という新たな売り方が出てくるという予想はされていたが、いよいよそれが動き出すという事が挙げられています。マドンナやマイケルジャクソンがMVという音楽と映像を融合させた(エンターテイメントに戻ったような)メディアを出して脚光を浴びたように、新たな変革が起きると筆者は述べています。

 


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ここまで読んでみての私の感想を述べます。

 


基本的な音楽と商業の関係性について学ぶに持ってこいの本です。二十世紀初頭のポピュラー音楽の黎明期のクリエイターの苦労や最期について簡単に納得いきましたし、また各音楽の成り立ち、個人的にこの本書を買うに至ったジャズの成り立ちの記述には、唸るものがありました。

 


ほとんどの章が、ポピュラー音楽の成り立ちについての記述ですので、商業的なものに興味がない方も、音楽の記述で楽しめるかと思いますし、逆に音楽と商業のある種「忖度」というものが見えてくると思います。

 


決して軽い読み物とは言い難いですが、音楽が本当に好きな方、ミュージシャンの方、また音楽の商業主義について批判的な考えの方などの方にオススメしたいです。

 


適当に古本屋で買ったにしてはとてもいい買い物をしましたね←

 


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ポピュラー音楽の世紀 (岩波新書)

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過去の本のレビューはこちらから

 

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それでは

 


see you!!

 


tre

 

 

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【追伸】


You Tubeのオリジナル曲の総再生数が200回を超えました。皆様のおかげです!ありがとうございます!
 
 
次上げるのは4月以降になるとは思いますが、 今上げている5曲を聴き倒して下さるとありがたいです!
 
 
それぞれの楽曲はこちらより聴けますので確認をよろしくお願いします!
 
 

 
 
それでは改めて…
 
 
ではでは
 
 
tre